データコモンズ (Data Commons)

 コモンズという聞きなれない言葉があります。これは共有地や共有資源のことを指しており、これらを適切にルール作りをして管理することで、利益が公平に行き渡るようにしましょうというものです。漁場の例がよく出ますが、漁場での捕獲量とか時期が決まっているのは、ルールがないと乱獲が進み、魚が絶滅してしまうからです。

これがデジタルの世界でも起きていて、データという資源を守るルールがこれまではなかったため、GAFAがまさに乱獲をして利益を独占する構図ができていました。そこで「データコモンズ」という動きが注目されています。


データを共有資源とする時に一番悩ましいのがプライバシーの問題です。個人データはどこまで出せるのかや、誰が管理するのかなどです。EUがGDPRという法律を制定し、個人データの「忘れられる権利」や「データポータビリティの権利」など様々なルールを作りました。これにより、データの所有権がより個人に近づくことで、データを個人が自分の意思で取引することができ、そこから経済的な価値が生まれてくると考えられています。

データコモンズでの他の動きとしては、オープンデータに対するルール作りです。どのようなデータは公開されるべきか、どのようなプラットフォーム上で流通されるべきか?などが様々なコミュニティを通じて標準化されようとしています。私の働く会社では、気候変動に影響するデータをコモンズ化してリスクを可視化したり、企業のESG/SDGsへの取り組み度合いを見える化するコミュニティに参加しています。

今後はデータが経済の重要な資源になるので、これらの動きはより加速するでしょう。私もITの観点で貢献できればと思います。

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