経験価値 (Experience Value)
オリンピックが始まっています。連日の金メダルラッシュのおかげで、自粛期間中での家で引きこもっていても少し幸せな気持ちになれるのは、やはりスポーツの力なんでしょうね。
一方コロナの陽性者数がここに来て爆発的拡大があり、オリンピックを原因の一つとする声もあり、本当に何が正解かが判断しづらいものです。
物事を実行する際の意思決定として、様々な基準がありますが、例えば「これは公平なのか?」とか「これは得なのか損なのか?」と言った、倫理的な視点と経済的な視点があると思います。今回のオリンピック開催にあたっても、これが綱引き状態でデッドロックしています。公平性で言えば、選手を優先することで医療従事者や日本国民の感染リスクが高まると考えれば悪いですし、経済的には開催してもしなくても赤字になるので、理論的に考えれば、やめるという判断が妥当なのでしょう。
でも「もしやらなかったら?」を考えたときに別の考えが浮かびました。それは「経験」という価値についてです。
(上図は、https://davidemarketing.co.jp/marketing-thinking/722/ を参考に独自アレンジ)もしオリンピックをやらなかったら、今年の夏は感動という経験がありませんでした。今年なくても次やればと言う人もいますが、それまでに亡くなってしまう人もいれば、選手として次は出られない人も大勢いるでしょう。「あれ、やっておけばよかった。」と言う負の経験価値と、「あの時、大変だったけどやっておいてよかったね。」と言う正の経験価値は、経済的な物差し(交換価値)で測るのは難しいものです。
また経験価値は、人それぞれに大きく異なり、ときには大きな犠牲のもとに特定の人の価値になるので公平性は少ないと思います。
これからの経済は経験価値をベースにした経済になると予測する人もいます。経験という定量化しにくく、個人の感情や心理に大きく影響する価値を、これからどうやって作り出していけるのか?
オリンピックを見ながら考えさせられたテーマでした。
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