ソフトウェアのオープン&クローズ戦略 (Software Open & Close Strategy)

事業戦略にはノウハウをオープンにする戦略とクローズにする戦略があり、どちらを選択するか、またはどのように組み合わせるかがとても重要です。1980年代、IBMがパソコンの市場で出遅れた頃、自社のPCのBIOSなどの仕様をオープンにすることでIBM互換機という大きな市場を手に入れたのはオープン戦略の成功例と言えるでしょう。
一方でアップルの場合、タッチスクリーンやデザインなど自社のコア部分の強みは徹底してクローズ戦略をとる企業もあります。GoogleもOSはオープンにしながらも、検索技術や広告技術はクローズにしており、オープン戦略とクローズ戦略を使い分けていることがわかります。


これはソフトウェアの世界に限定しても同じだと思います。自社の強みであるコア領域はクローズ戦略で、それ以外はオープン戦略で使い分けるというものです。様々な企業や顧客との接点についてはオープンなアーキテクチャを目指し、APIや既製のアプリケーション(SaaSやパッケージなど)を使った標準化を行っていきます。これにより、外部のシステムインテグレーターに安価にシステム構築してもらいやすくなりますし、ニーズに応じて臨機応変に組み替えられるビジネス機能を持つようになります。
言い換えるとオープン戦略はモジュラー型(組み合わせ型)アーキテクチャーとも言えると思います。可能な限りレゴブロックのように組み立てられるシステムにしていくイメージです。

一方で自社が持つデータを活用して、独自のビジネスプロセスを構築していくノウハウはコア技術となるため、内部の人材による企画・設計・構築ができるようにすべきです。日本ではここも外部のシステムインテグレーターに任せてきた経緯があるため、今になって内部人材のスキル不足が問題になっています。
このクローズにする部分は、企業の歴史・文化を理解した内部の人材が、職人技ですり合わせて作るものであり、明文化しにくく、外部には真似しにくい秘密の部分です。先程のモジュラー型ではなくインテグラル型(すり合わせ型)アーキテクチャーになると考えます。

このようにソフトウェアで構築するシステムを、オープンな部分とクローズな部分に明確に切り分ける戦略をとることによって、企業のIT戦略はより明確にできるのではないでしょうか?

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