ソーシャる (Socialize)

最近のコロナ禍で在宅勤務が進んでいる中、ニューノーマルな社会では、出社して対面でのコミュニケーションをすべき、必要ないといった議論が出始めているようです。会社とは、組織とは何かにまで発展する深い問題です。

私の意見はやはり対面でのコミュニケーションは仕事においても必要だと思います。それは対面での、それも特に形式的なミーティング以外の場で、思いもよらないアイデアを発見したり、深い感動をお客さんたちと共有したりすることがあったからです。

ある日同僚の営業と仕事帰りに飲みに行った時のことですが、ビールを飲みながら仕事の話をしていたら、「こんな資料があればいいね。」ということで意気投合して作ったものがあります。その絵は今でも営業資料として役に立っています。

ある時お客さんと一緒に海外視察ツアーに行った時、数日間行動を共にしながら様々な議論を交したのですが、その時のお客さんとは体験を共有しているため、何かを説明する時でもお互いに理解し合えているという実感があります。

これはナレッジ・マネジメントの世界では「共感」というそうです。


この絵は野中郁次郎先生という経営学者が考案した、「SECIモデル」といって、組織が知識を暗黙知から形式知に変換していくプロセスを表しています。今ではソフトウェアの世界で「スクラム」という開発手法が有名ですが、この先生は論文で初めてその言葉を使って組織プロセスを説明した人でも有名です。

このモデルでは、何よりもまず人が「共感」することで暗黙知を共有しあうことが重要で、それを概念化したり、標準化したりすることで形式知に変換し、さらにそれを実践することで個人のノウハウとして暗黙知化される。その繰り返しなのだと説明しています。

それらのプロセスには「場」が必要で、物理的な場やバーチャルな場でも良いのですが、共感を伴う創発場(絵の左上)は、やはり同じ空間である方がいいと思うんです。

この時代、同じ空間を共有することがこんなにも難しい世界というのは想像できませんでした。

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