色眼鏡 (Colored glasses)
お客様にものを説明する時に、「何で自分の説明が伝わらないんだろう。」と思ったことは数え切れないほどあります。また他人から何かを聞いた時に、同じ話を聞いていたとしても、その人の性格や話し方によってポジティブに捉えたり、ネガティブに捉えたりすることがあります。
こういう経験は人間ならごく普通のことで、心理学の用語で「認知バイアス」というそうです。認知心理学という学問の一つで、知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決など人間の持つ認知機能にバイアス(偏り)が起きてしまうことです。
いくつか例をあげると、「ハロー効果」というものがあります。実績のある人が発言するともっともだと思ってしまうことです。「バンドワゴン効果」というのは長いものに巻かれろという意識で行列の多い店は美味しいと思ったりします。私がやりがちなのが「確証バイアス」。自分に都合の良い情報を集めてこれで大丈夫と思い込むことです。実は研究されている認知バイアスは150以上もあるそうです!煩悩の数より多いですね。
この心理学はビジネスに非常に役立ちます。お客様からヒアリングをした結果を論理的かつ合理的に分析し、説得力のある提案をする場合には、これらの認知バイアスを徹底的に排除しようとします。そうすれば、客観的で汎用的な提案になり、ツッコミどころのない内容に仕上げられるでしょう。一方で自分の提案をお客様にプレゼンするときは、むしろ認知バイアスを活用すべきです。お客様の感情に訴えたり、お客様の思考特性に合わせた分かりやすい説明をするなどに参考にできると思います。
裁判官はこの認知バイアスを限りなく排除することを求められる職業であり、アウトプットに感情などが入らないことを心がける必要がありますが、ビジネスの世界においては正論だけでは心が動かされないことも多いと思います。顧客を動かすために認知バイアスを利用することは悪じゃないと思うのですがどうでしょうか。
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