標準 (Standard)
久しぶりに忙しい1ヶ月でした。ブログを書く気力もなく週末がすぎていきました。
このままではこのブログもやめてしまいそうなので気を取り直して書こうと思います。
今日のテーマは標準です。日本には鉱工業製品の規格などを扱う「日本工業規格 (Japanese Industrial Standards)」(略称JIS)が古くからありましたが、2019年7月1日より大幅に改正されたのをご存知ですか?しかも名称が「日本産業規格」に変わっています。
この改正の大きな目的は、これまで標準化の対象が鉱工業製品だけだったのをデータやサービスに拡大したことやJISの制定プロセスの迅速化などがあります。IoTやAIなどの情報技術の革新により企業の競争力がデータやサービスにシフトしていく中、日本の企業の競争力を高めるためにも標準化で国際的な優位性を持つ重要性が高まったことがきっかけです。ISOなどの国際標準では早くから対応していたデータ・サービスの規格が日本ではこれまで作れなかったのです。
さて、このJISを調べていたら面白い資料を発見しました。
経済産業省の組織の一つである日本産業標準調査会のホームページに子供向けに「標準化とは?」というマンガを掲載しています。https://www.jisc.go.jp/KIDS-HP/kids.html
これが小学生向け、中学生向け、高校生向けと3パターンあり、それぞれに工夫を凝らして説明しているのが分かります。例えば小学生向けには「なぜ乾電池は形や大きさが決まってるのかな?」とか身近なことから標準化を考えさせて、なぜ重要なのですか?という内容なのですが、中学生になるとそこに標準化の歴史を織り交ぜて、どのように標準化が発展してきたのかを説明しています。さらに高校生向けには、標準化による重要性をさらに深掘りし、国際社会における日本の競争力のための必要性を問いかけています。
このように一つの説明をする対象ごとに内容を変えていくことはものすごく重要であり難しい作業です。日頃の仕事にも参考になる資料でした。
最後にもう一つ標準化について。JISのような国家など標準化団体が定める規格のことを「デジュリスタンダード」(de jure standard)と言います。一方ITの世界で多いのが、市場競争で結果的に標準とみなされた、「デファクトスタンダード」(de facto standard)です。アメリカはデファクトスタンダードで事実上の標準を作って、後から公的に標準化する戦略をとっており、日本はその点で遅れをとっています。
JISで標準化することも重要ですが、デファクトスタンダードをいかに取るかを日本企業も真剣に考えないと国際競争力は維持できないですね。
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