損益分岐点 (Break Even Point)
この前テレビで成城石井が地方のどの名産品を店頭に置くかを決める番組がありました。ポン菓子やバジルソースなど美味しそうな食材を選んでいくのですが、社長が言うには商材の選定では品質や素材はもとより、一定の提供量を見込めなければ採用はできないとのことでした。配送料や様々な管理コストを考慮すると、月に何個売れないと採算に合わないということです。
このように食材などは生産量と売上が分かりやすく連動するため、計算がやりやすいのですが、私たちが働くソフトウェアの商材はそれがとても難しいです。苦労して提案した案件が数百万円の時もあれば、大きな労力はかけなくても数億円と言うケースもあります。私たちの仕事量と売上の関係性を見出すのがとても困難な業界なのです。
そこで最小二乗法による固変分解(固定費と変動費の分解)をIBM、Microsoft、Oracleで試してみました。インターネットで公開されている過去10年くらいの四半期の売上と費用をプロットして、それを1次関数で回帰分析すると、Y軸の切片が固定費、1次関数の傾きが変動費率として計算できるというものです。(下記グラフの単位は10億ドル)
これから面白い事実が分かります。
- IBMは変動費率が低く (0.119)、MicrosoftとOracleは高い (0.5311& 0.4738)。
- IBMとMicrosoftは固定費が高く(3.7696 & 4.085)、Oracleは低い (1.6919)。
さらにこの計算式から損益分岐点(BEP)を計算してみました。
これからIBMとOracleは四半期の損益分岐点売上高は40億ドル前後ですが、Microsoftは87億ドル強と大きく差が開いています。いずれにせよ毎四半期これ以上の売上が無いと会社として存続できなくなるというのは驚きですよね。
これらの分析は全社単位でのざっくりしたものであり、事業セグメントの違いやビジネスモデルの違いもあるので詳細な分析はできませんが、この事実から自分の働いている会社がどのようなコスト構造を持っているのか、また自分の仕事に対する報酬(人件費)は売上に対して変動的なのか固定的なのか、を考える上で良い情報となると思います。
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